IOCのベテラン職員に聞く最近のオリーブオイル業界の傾向とは?【オリーブ世界一の国 スペインから】
Hola!! ジャカランダの花も咲きだし、スペインは今とても気持ちのいいシーズンです。さて、前回はIOC(International Olive Council)について書きましたが、今回はIOC訪問時に職員のCatarina Bairrao Baluda(以下、カタリーナ)に聞いた最近のオリーブオイル業界の動向についてお話いたします。【 IOCのベテラン職員に聞く最近のオリーブオイル業界の傾向とは 】
ポルトガル人のカタリーナは、大学で農学を専攻し自国でオリーブオイルに関わる仕事をした後、IOC本部に転職して20年以上になるベテラン職員です。母国語のポルトガル語以外にIOCの公用語5か国語のうち英語・スペイン語・イタリア語・フランス語を操るマルチリンガルで(※
まずは気になるコロナウィルスの影響ですが、業界への悪影響はほとんどないとのこと。健康に良い食品がより注目されるようになったことが、オリーブオイル販売にも追い風になっているという面もあるそうです。飲食店での消費量が減った代わりに家で料理をする人が増え、多くの国でロックダウンがあった環境下でオンラインでの購買が増加しました。また、生産者が自分たちのサイトにオンラインショップを開設しダイレクトに消費者に販売を始める傾向も見られるそうです。興味深いことに、マスクの着用義務や手洗い、消毒の徹底で搾油所の衛生状況が良くなったという話も聞かせてくれました。
また食品全般に言えることでは、オーガニック商品の需要が増えていることも近年の傾向のひとつだそうです。年々自分や家族の健康、および環境に配慮する人が増えている傾向があるようです。EUでは2030年にはオーガニック商品を全農業食品の25%にすることを目標にしているとのこと。オーガニック認証を取得していなくとも農薬を使わない、またはなるべく控える生産者も増えていることを教えてくれました。近年は高密植栽培法や超高密植栽培法によるオリーブ畑が増えてはいるものの、生態系を考慮すると伝統的栽培法の畑がなくなることはないと考えているそうです。
消費者インサイトについても面白い示唆がありました。オリーブオイルの購入者には2タイプいるいうことなのです。「こだわりがない派」(値段が購入決定要因)と「こだわり派」の2タイプで、最近は後者の「こだわり派」が増えてきていると感じると話してくれました。やはり健康や環境を気遣う人が増えてきていることも関係があるのでしょうね。こだわりがある人は、食品トレーサビリティにも関心があることが多いそうです。日本でも「生産者の顔が見える」マルシェや通販サイトは人気ですよね。
また、オリーブオイルボトルの「デザイン」の重要性も挙げていました。消費者は売り場を見て3秒で買いたいものを認知するという研究結果があるそうです。確かにわたしたちもいろいろ迷った末に、最初にいいと思ったものを選ぶことが多くありませんか? オリーブオイルの品質も値段も同程度であれば、「ジャケ買い」するのは当たり前のこと。従来と比べ、マーケティングがより重要になってきていると話してくれました。
どうでしたか? 難しい話はなく「なるほど!」と思うことばかりですね。日本でも健康効果もありオリーブオイルの消費は増えていますが、ネットには間違った情報が氾濫し、まだまだ正しい知識が浸透していないことが残念です。日本でもオリーブオイルにこだわりを持つ方々が増えることで、多くの人が正しい知識をもってオリーブオイルを楽しめるようになることを願います。それでは、hasta luego!!(田川敬子)