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オリーブオイルが酸化しづらく健康にいい油と言われる理由

皆さま、こんにちは。医師でオリーブオイルソムリエ®の浅井洋貴です。早摘みオリーブオイルの季節も終わり、今年のオリーブジャパン®国際オリーブオイルコンテストの審査会も迫ってまいりました。審査が終わると、受賞したオイルをOLIVE JAPANⓇ SHOW ☆ まるしぇで購入できるのですが、一方で、昨年買ったオイルがまだ家に残っている、という方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。私も毎年マルシェを楽しみにしており、どのオイルも素晴らしいので嬉しくなって受賞オイルを必要以上にたくさん買い込んでしまうのですが、だいぶ時間がたった次の春になると、オイルの劣化も気になってきます。【 オリーブオイルが酸化しづらく健康にいい油と言われる理由 】

オリーブオイルが酸化しづらく健康にいいとされる理由

鮮度はオリーブオイルの美味しさや栄養価に影響

熟成させることで風味が増すワインとは異なり、オリーブオイルは基本的には新鮮な状態で消費されることがもっとも栄養価が高く、生鮮食品のように扱ってただきたいため、購入して半年以内には使い切ることをお勧めします。しかし品質管理がしっかりしているオリーブオイルは開栓してみると、意外に風味の劣化の少ないオイルが多く、元のオイルの優秀さがここでも垣間見えます。

これはオリーブオイルの「酸化されづらい」という性質が大いに関わってくるのです。

「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」の違いとは

健康効果としてのオリーブオイルの「抗酸化作用」(ポリフェノールやトコフェロール等の働き)は前々回の記事でお話ししましたが、実はオリーブオイル自体が酸化していないことも大切です。皆さんも酸化した油を身体に取り込むことは健康上望ましくないことは想像がつくと思いますが、一体なぜオリーブオイルは酸化しにくいのでしょうか?

オリーブオイルが酸化しづらく健康にいい油と言われる理由

鉄が錆びたり、リンゴやバナナの断面が空気に触れることで変色するのも酸化の一種

ここから少し専門的になりますが、脂質の化学の話にお付合いください。

一般的にエネルギー源として利用されるだけでなく、細胞膜の構造やホルモン合成、体温調節など、さまざまな生理的機能にも必要不可欠な「脂質」は、グリセリンと3つの脂肪酸の組み合わせで構成された化合物です。これを「トリグリセリド」または「トリグリセライド」といい、脂質の性質はこの3つの脂肪酸の構成により決まります。

「不飽和脂肪酸」という名前を聞かれたことがあると思いますが、これは脂肪酸の分類の一つで、常温で固まらず液体であることが多い植物油の構成要素はこの「不飽和脂肪酸」がメインになっています。

多価不飽和脂肪酸は特に青魚(サバ、鮭、マグロなど)に多く含まれています

そしてこの不飽和脂肪酸には「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」の2つのタイプがあります。健康にいいとされる油、例えば魚油やひまわり油の脂肪酸は、化学式では二重結合が複数存在する「多価不飽和脂肪酸」が多く、この二重結合は分子構造を曲げやすく脂肪酸が柔軟になり、この二重結合が多ければ多いほど化学的に不安定で酸化されやすいといわれています。健康に良いとされる魚の油としてよく目にするEPA、DHA等にもこの二重結合が複数あり、効果・効能としては証明されており処方薬として私も患者さんに投与することはありますが、これらは食用油としては実は酸化されやすい部類に入ります。

オリーブオイルが酸化しづらく健康にいい油と言われる理由

ステーキなどの動物性脂を大量に接種し続けると動脈硬化進行の心配も

逆に二重結合がない「飽和脂肪酸」がメインの動物性の脂は多くは化学的に安定していますが、動脈硬化の進行に影響するのは周知のとおりです。

オリーブオイルが酸化に強いのはオレイン酸のおかげ

では、オリーブオイルはの化学的特性はどうでしょうか?オリーブオイルを構成する脂肪酸の中でも主たる存在の「オレイン酸」が実は重要な役割を担っているのです。オリーブオイルの脂肪酸の主要成分であるオレイン酸は「一価不飽和脂肪酸」、つまり二重結合が一つしかない不飽和脂肪酸で、多価不飽和脂肪酸に比べて酸化しにくい性質を持ちます。

言い換えると、常温で液体かつ他の植物油より化学的に安定しているので酸化されづらいということになります。ある程度時間が経っても劣化が少ないオリーブオイルには化学的根拠があったのです。加熱調理にも強く、揚げ物などにオリーブオイルを使用してもきちんと濾して適切に保管すれば、数日は再利用できてしまうのもこのオレイン酸あってのものです。

オリーブオイルが酸化しづらく健康にいい油と言われる理由

それでも保存状態には最新のご注意をお忘れなく

もちろん酸化されづらいことと、全く酸化しないことは別問題なので、いかにオリーブオイルといえども開栓した油を暖かい陽の当たる場所に放置する等してしまえば、容易に欠陥オリーブオイルが出来上がってしまいます。皆さまにはご自宅での保管は冷暗所で!なるべく早く使用する!というのは前提として、購入する店舗での保管状態にも気を付けていただくとよいかもしれません。

それでは今回はこのあたりで簡単にまとめます。

◆今回のポイント

・高品質なオリーブオイルは酸化されづらく、風味の劣化が少ない

・オリーブオイルが酸化されづらいのにはオレイン酸が一役買っている

・オレイン酸が酸化されづらいのは二重結合が一つしかないため

・それでも保存状態には気を付けて!

   
     
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