オリーブオイルのボトルで見る黄色と赤のマーク「DOP」の意味【オリーブ世界一の国 スペインから】
Hola!! 先週はスペイン各地が寒波に見舞われ、首都マドリーでは50年ぶりの大雪を記録しました。あちこちのオリーブ畑も真っ白に! SNSでは美しいオリーブ畑の雪景色の写真がたくさん投稿され、畑でスノーボードを楽しむ動画まで目にしましたが、場所によっては大きな被害を受けたところもあるようです。今シーズンはマドリー県で9000万キロの収穫予定だったところがまだ2700万キロしか収穫しておらず、残った実が被害に遭ったという報道も目にしました。生産者の気持ちを思うととても気になるところです。【本日のテーマ: オリーブオイルのボトルで見る黄色と赤のマーク「DOP」の意味 】
さて、今日はDOP(保護原産地呼称、スペイン語ではDenominación de Origen Protegida/デノミナシオン・デ・オリヘン・プロテヒーダ)のお話 です。オリーブオイルのボトルの側面に黄色と赤の商標(写真左側)を見たことはありませんか? 【オリーブオイルのボトルで見る黄色と赤のマーク「DOP」の意味 】
これはEUが規定する生産地認証制度で、DOP認証を受けた製品だけが使用できる商標です。農産物やその加工品の産地を保証する規格で、オリーブオイルの場合は栽培・収穫から搾油、ボトリングまですべて定められた同一地域内で生産規定通りに行われていることになります。
また、製品の特性がその地域の文化や伝統を反映した産地限定のものである必要があり、品種も昔からそこで栽培されているものに限られます。たとえば、おいしいオイルがたくさん搾れて育てやすいから、と他地域や外国産の品種を植えてオリーブオイルをつくっても、認証を受けることはできないのです。すべての生産工程において厳しい審査がありクリアするのはなかなか大変なので、DOPを持っていることはひとつの差別化要因になります。
欧州では、オリーブオイルのラベルに表示されている「原産地」はボトリングをした国になります。ご存知でしたか? 中身が他の国でつくられたオリーブオイルでもMade in SpainやMade in Italyとして世界に流通しますが、DOP認証を取得するには厳しい検査があるので、この認証があればまず産地に間違いはないでしょう。店頭でイタリア産のオリーブオイルを買った!と思っていたのに、実は他の国でつくられたオリーブオイルを食べていた・・・というような事もなくなりますね。
スペインには現在、29のDOPがあります。
それぞれのDOPに統制委員会があるわけですが、やはりオリーブオイルが主要産物である地域ほどその活動は盛んです。見本市ではDOPブースを設け出展するケースをよく目にします。
以前、DOPプリエゴ・デ・コルドバが子ども向けに本格的なテイスティング講座を開催していることをこのサイトでも紹介しましたが、DOPプリエゴ・デ・コルドバでは他にもオリーブオイル テイスティングコンテストの開催、観光局と一体となり各種イベントに参加、SNSでの発信など積極的に活動しています。つい最近では、DOPモンテス・デ・トレドが写真コンテストを開き、SNSで入賞者が発表されているのも目にしました。
またDOP以外に、IGP(保護地理的表示、スペイン語ではIndicaciones Geográficas Protegidas/インディカシオネス・ヘオグラフィカス・プロテヒーダス)という認証も存在します。上の写真の右側の黄色と青の商標ですね。DOPよりも規定は緩く、工程のひとつだけでもその地域で行われていればOKですが、特産品の認証であることに変わりはありません。スペインでは、昨年ハエンではじめてオリーブオイルのIGPが誕生しました。上のDOP地図で見ると緑色の枠で囲まれた地域で、ハエン県全域に及びます。
素晴らしいオリーブオイルがあえてDOPを取得していないこともあれば、逆にDOPを持つオリーブオイルはすべてエキストラバージンであるはずなのに「あれ?」と思うことも実はあります。必ずしもDOP=高品質でおいしいとは言い切れないのですが、オリーブオイルを選ぶ時の一つの目安にして下さい。スペインにお越しになられる際には、訪問先のDOPを持っているオリーブオイルをお土産に買うのもいいですね。
それでは、Hasta luego!!(田川敬子)