eオリーブオイル選び | Buy the Good Olive Oil

子供が参加できる本格的オリーブオイル講座が作る未来
【オリーブ世界一の国 スペインから】

小学校3年生から6年生を対象にしたテイスティング講座修了式の集合写真
写真提供:D.O.P. Priego de Córdoba

Hola!! 9月も中盤になりましたね。スペインではもうすぐオリーブ収穫の本格シーズンを迎えます。今年も搾油したばかりのフレッシュな新油を味わえる日が今から楽しみです。

さっそくですが、皆さんはEUが定める農産物と食品の規格「原産地呼称保護(以下、DOP)」をご存知ですか?ワインにも同様の規格(DOC)が存在するので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。オリーブの産地から品種や収穫時期、搾油過程、瓶詰めなど、すべての過程がその産地の管理下で行われたことを規定するラベル表記でDOP表示のあるオリーブオイルは、その土地独特の風味をまとっているのが特徴です。

D.O.Pマーク

スペインには現在29のDOPがありその中で「世界でもっとも多くのコンテスト受賞実績のあるDOP」を自負しているのがDOPプリエゴ・デ・コルドバです。スペイン南部のコルドバ県(Provincia de Córdoba)にあるスブベティカ山地東側に位置する4つの自治体 ①アルメディニージャ(Almedinilla)②カルカブエイ(Carcabuey)③フエンテ・トハル(Fuente Tójar) ④プリエゴ・デ・コルドバ(Priego de Córdoba)が該当します。実際、DOPプリエゴ・デ・コルドバのオリーブオイルはOLIVE JAPAN®国際オリーブオイルコンテストでも最優秀賞の常連です。

DOPプリエゴ・デ・コルドバは観光局と共に、オリーブオイルツーリズムの推進や見本市出展、世界の主要なエキストラバージンオリーブオイル品評会への参加、オリーブオイルテイスターコンテストの共催などなど、オリーブオイルが世の中に正しく認められるためのさまざまな施策を積極的に行っています。

その中でも特にユニークなのが、地元の小学校3年生から6年生を対象にしたオリーブオイル・テイスティング講座です。伝統特産物でありこの土地の文化とも言えるオリーブオイルについて、子供の頃から理解を深めてほしいという願いと共に2011年にスタートしました。講座内容は、通年講座で週1回1時間。レベルが3つに分かれており、全レベルを終了するには3年!も要する本格的な講座なのです。コース終了後、希望者はテイスティングパネル形式(オリーブオイルの品質を見極める鑑定士のグループ)で継続することができ、毎年50人から60人がこの講座で学んでいるそうです。

子ども講座の様子。目隠しをして嗅覚を研ぎ澄ます
写真提供:D.O.P. Priego de Córdoba

「子どもは大人のような先入観がなく、繊細な感覚を持ち合わせているので、習得が早いの」DOP事務局長を務めるパキ(Paqui García González)は言います。座学で生産過程を学んだりテイスティングをするだけではなく、オリーブ畑や搾油所の見学、オリーブオイルを使った調理実習など内容は多岐にわたり、はじめは親に連れて来られた子でもいつの間にか真剣な眼差しで意欲的に参加するようになるとのこと。「子どもは習ったことを家族に話すので、間接的に親兄弟姉妹にもオリーブ文化が伝わっていくのよ」とパキは嬉しそうに話してくれました。

オリーブオイルの魅力にはまり、大人になってから学び始めた私たちから見たらなんて羨ましい環境でしょう。そして、驚くことにこの講座は無料なのです!! ここで学んだ子ども達から、将来のオリーブオイル業界を担う人材が生まれることは間違いありません。オリーブオイルがスペインの人たちにとってただの植物油ではなく、正しく後世に伝えるべき文化であることを改めて感じました。

白壁の家に花が飾られたプリエゴの旧市街散策はおすすめ

プリエゴ・デ・コルドバは人口2万人あまりの小規模ながら、歴史と伝統を大切にしている街です。花で飾られた白壁の家の間を迷路のような細い道が交差するかわいらしい旧市街は一度は訪れたい場所です。周辺にはハエンとはまたひと味違うオリーブの海が広がっています。何度か足を運ぶ機会があったことで、私にとってはとても愛着を感じる居心地のいい町になりました。皆さんも、機会があればぜひ足をのばしてみてくださいね。

それでは、hasta luego!!(田川敬子)

   
     
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