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モニュメンタルオリーブツリーを守り継ぐ人々の使命感とその恵み

Hola‼ スペインの多くの地域でオリーブの木にかわいい実が顔を出し始めました。生産地では5月中旬以降、何か月ぶりにまとまった雨に恵まれ、オリーブ農家さん達は大喜びです。さて、5月11日~21日にバレンシアで開かれたValencia Culinary Festivalのプログラムのひとつ『モニュメンタルオリーブツリーからつくられたエキストラバージンオリーブオイルのテイスティング』に出席させていただきました。今回はそのレポートを皆さんにお伝えします。【 モニュメンタルオリーブツリーを守り継ぐ人々の使命感とその恵み 】

モニュメンタルオリーブツリーを守り継ぐ人々の使命感とその恵み

Valencia Culinary Festivalのプログラムに参加した生産者さんの畑にあるモニュメンタルオリーブツリー

世界初のサスティナブルなレストランガイド2023年版発売

実はこの春、バレンシア州のレストランガイドブック“Sustentable”2023年版が発売になりました。これは従来からある料理の質やサービスだけにとどまらず、そのレストランのサスティナビリティを評価した世界初のガイドブックで、ガストロノミーの世界から気候変動に立ち向かうことを謳っています。

ガイドブックには州内のサスティナブルな85軒のレストランが掲載されているほか、18軒のオーガニックワイナリーと「モニュメンタルオリーブツリー」でエキストラバージンオリーブオイルをつくる8軒の生産者さんが紹介されています。もし皆さんがバレンシア州を訪問される機会があればぜひ手にとって欲しい一冊です。

Sustentableディレクターのマリア(右)とモニュメンタルツリー専門家のホセ(左) 卓上にある桃色の冊子がSustentableガイドブック

伐採や移動が禁じられている「モニュメンタルオリーブツリー」

ところで皆さんはきっと「モニュメンタルオリーブツリー」とは?と思われますよね。モニュメンタルツリーとは、バレンシア州の州法 Ley 4/2006, de 19 de mayo, de patrimonio arbóreo monumenta において以下の条件の”ひとつ以上を満たすもの”と定義されています。(この定義はオリーブの木に限りません)

・幹の円周が6m以上

・樹高25m以上

・樹冠直径25m以上

・樹齢350年以上

「モニュメンタルオリーブツリー」が定められ守られるべき対象となった背景には、今から20年ほど前、百年樹、千年樹の立派なオリーブの木が次々と引き抜かれてはイタリアをはじめとする世界各地に売られていったことがあります。これらの行為に危機感を覚えた人たちが立ち上がり、モニュメンタルツリー保護のために2006年に成立したのがこの州法なのです。現在では許可なくモニュメンタルツリーを伐採や移動することは禁じられています。

保護されているオリーブの木の品種はファルガのほか、モルーダ、カネテラ、ブランケタ、グロッサル、マンサニージャなど。特にファルガは一から育てるのは非常に難しいそうで、現在存在している木を残していかないと絶滅する可能性があるそうです。(スペインのオリーブ品種についてはこちらの記事もご覧ください)

モニュメンタルオリーブツリーを守り継ぐ人々の使命感とその恵み

労力も時間もかかるモニュメンタルオリーブツリーの収穫

守られるだけでなく究極のオリーブオイルももたらす存在

プログラムでは、サスティナブルなレストランガイド“Sustentable”のディレクターとモニュメンタルツリーの専門家の話に続き、9 Oliveres、Finca Varona la Vella、Bardomus、Castell de la Costurera、Sabor del Temps の5つのオリーブオイルを各生産者さんのリードでテイスティングしました。

今回テイスティングしたのはこちらの5つのモニュメンタルツリーから搾油されたオリーブオイル

着席してテイスティングのセッティングを見るだけでわくわくしてきます

名前を出すのは控えますが、この時にテイスティングしたファルガのオリーブオイルは私が知っているファルガの中でも圧倒的に素晴らしく、モニュメンタルツリーからこんなにおいしいオリーブオイルがつくれることに感動しました。推定樹齢1000年以上のオリーブの果実だけを使っているそうです。

またアリカンテの山間のある生産者さんのエピソードには心を打たれました。自分の畑にあるモニュメンタルツリーだけではオリーブオイルを搾るには足らず、ひと夏かけて近隣7つの村を歩きまわり該当をする木を探したところ、予想以上に見つかり驚いたそうです。それからひとりひとりの持ち主を探して説得した結果生まれたのが、この日にテイスティングしたオリーブオイルでした。品種不明の木もありますが、マンサニージャのほかにヘノベサ、アルファファレンカ、ブランケタ、チャングロ・レアルなどの複数の品種からなるクパージュです。

モニュメンタルオリーブツリーを守り継ぐ人々の使命感とその恵み

プログラムのどのセッションの話も興味深く、真剣に聞き入る参加者

モニュメンタルオリーブを守る人々の熱き思い

モニュメンタルツリーは大木なので収穫には手間がかかります。また搾油率も高くはなく利益性が良いとは決して言えません。それでも、生産者さん達は「先人から受け継いできた大切な木」「静かに歴史を見守ってきた木」「伝統」「昔からある風景」と数々の理由をあげた上でそれを守りたいと熱く語ってくれました。

おいしいオリーブオイルをつくるために収穫をすることで、モニュメンタルオリーブツリーはただ守られているだけの存在ではなく生産性のある木にランクアップします。また、モニュメンタルオリーブツリーの果実から搾ったということで、オリーブオイルには付加価値がつきます。専門家や生産者さんの話を聞き、モニュメンタルオリーブツリーは歴史的な希少性とビジネスとしての生産性が両立している存在であることに気付きました。それと同時に、スペインではオリーブは単なる農産物や食品にとどまらず文化であると言われる所以を再認識しました。

生産者さんの熱い思いがひしひしと伝わり、遠い日本から来た私も改めて「モニュメンタルオリーブツリーを守りたい」と心から感じたテイスティングイベントでした。それでは、hasta luego!!

   
     
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