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ADAOVE開催の第一回コングレスの現地速報レポート

Hola!! 夏が始まったばかりだというのに、私の住むバレンシアではすでに40度を超える日がありました。今年は猛暑になるのでしょうか。さて、スペインは世界一のオリーブ産出国だけあり、オリーブに関係する団体が多数存在し、年間を通してさまざまな催しが行われています。今回は6月に「エキストラバージンオリーブ・ディフェンス・アソシエーション (ADAOVE)」が開催したコングレスの現地レポートです。【 ADAOVE開催の第一回コングレスの現地速報レポート 】

ADAOVE開催の第一回コングレスの現地速報レポート

サンタ・バルバラ城で開かれたADAOVE賞の授賞式でスタートしたコングレス

授賞式でスタートした「エキストラバージンオリーブ・ディフェンス・アソシエーション (ADAOVE)」コングレス

今から1年前の2021年6月、エキストラバージンオリーブオイルの価値と地中海料理の柱としての地位を高め、ひいてはオリーブオイルがスペイン産製品のシンボルとなることを目的にバレンシア州アリカンテで「エキストラバージンオリーブ・ディフェンス・アソシエーション(Asociación de la Defensa del Aceite de Oliva Virgen Extra 、略してADAOVE)」という協会が発足しました。そして、1年後の2022年6月1日と2日にADAOVEは「第1回エキストラバージンオリーブオイル・コングレス」を開催しました。

ADAOVE開催の第一回コングレスの現地速報レポート

ADAOVE賞受賞者とADAOVE役員の皆さん

4つの部門における第一回ADAOVE賞受賞者たち

コングレスは初日夕方、アリカンテにあるサンタ・バルバラ城での第一回ADAOVE賞授賞式でスタート。以下の4つの部門でそれぞれ、各分野でオリーブオイルの地位向上に実績のある皆さんが受賞されました。

・【ガストロノミー部門】

エキストラバージンオリーブオイルシェフとして活躍し、サッカーのスペイン代表チームのシェフも務めるDanial García

・【健康部門】

ハエン大学の免疫学教授José Juan Gafori氏

・【エキストラバージンオリーブオイルの保護部門】

IGP(保護地理的表示)“ハエンのオイル”トップのManuel Parra氏

・【企業家部門】

オリーブオイルを扱うスペイン最大の農業協同組合Dcoopの組合長Antonio Luque氏

テーマは「健康」「ガストロノミー」そして「法規とマーケティング」

2日目のコングレスでのテーマは『健康』『ガストロノミー』そして『法規とマーケティング』でした。オリーブオイルの価値向上にはどんな要素が必要であると考えているかがよくわかるテーマ設定です。

健康:エキストラバージンオリーブオイルを採り入れた地中海ダイエットがもたらす心筋梗塞や動脈硬化、結腸癌の予防効果

『健康』では、ADAOVE賞受賞者であるハエン大学José Juan Gaforio教授とスペイン食糧安全保障機関科学委員会Magdalena Rafecas 委員長が登壇し、エキストラバージンオリーブオイルが健康にもたらす有益な影響について発表。アメリカの心臓病学会の研究結果も盛り込まれており、医学界でエキストラバージンオイルについて深く研究されていることを再認識しました。たとえば、バターやマーガリン、マヨネーズ、乳脂肪の代わりにエキストラバージンオリーブオイルを摂取することは、死亡リスクの低下に繋がること、またエキストラバージンオリーブオイルを採り入れた地中海ダイエットが心筋梗塞や動脈硬化、結腸癌の予防効果があるという話が紹介されました。こういう研究結果が広く正しく消費者に伝わればいいと心から思います。

オリーブオイルの微量成分について話すスペイン食糧安全保障機関科学委員会Magdalena Rafecas 委員長

オリーブオイルが含有するフェノール類について話すハエン大学の免疫学教授José Juan Gafori氏

ガストロノミー:日本の和食とオリーブオイルの楽しみ方を紹介する機会に

続いてのテーマは『ガストロミー』。急遽サッカースペイン代表チームに合流しなければならず登壇できなかったADAOVE賞を受賞したDanielシェフの代理で、デニアにあるミシュラン一つ星レストランPeix & BrasesのJosé Manuel Lópezシェフ、以前このサイトでご紹介したオリーブオイルの技術コンサルタントのMiguel Abad氏、ワインとオリーブオイルのソムリエとして活躍するDavid Remolar氏、そしてお恥ずかしながら日本人オリーブオイルソムリエとして私も一緒に壇上に上がり、日本市場でオリーブオイルの消費が増えていることや、今やスペインでもおなじみとなった和食とオリーブオイルの楽しみ方などを話しました。

筆者も日本人オリーブオイルソムリエとして壇上で日本のオリーブオイル事情を紹介(左から2番目)

スペインの飲食現場に詳しい2人からは、キッチンやホールのスタッフへのオリーブオイルの健康効果やマリアージュについての教育の必要性があるという話が出ました。そこから消費者にオリーブオイルの正しい知識が伝わっていくことを考えると、確かに重要ですね。

私が興味深く感じたのは、飲食店で無料で出てくる位置づけのオリーブオイルをそれとは別に有料で提供してもいいのではないかという提案でした。「有料にすることで、消費者もその価値に気付くはず」と。皆さんがレストランに行った時、メニューに風味の異なるオリーブオイルがいくつか出ていたら、ひとつくらい頼んでみようという気になりませんか?

ADAOVE開催の第一回コングレスの現地速報レポート

コーヒーブレイクでは、オリーブオイルを使ったパネトーネに舌鼓

法規とマーケティング

最後のテーマは『法規とマーケティング』。まずはイタリアからオンラインで、オリーブオイルのパッケージも手掛けるデザイナーのMónica Armani氏の話から始まり、ADAOVE賞受賞者でIGP(保護地理的表示)“ハエンのオイル”トップのMunuel Parra氏、欧州連合知的財産庁Patricia García-Escudero氏、ADAOVE賞受賞者でDecoop組合長のAntonio Luque氏、そして高級品のマーケティングが専門のポルトガルのAntonio Paraíso氏と続きました。

印象に残ったのは、若い世代のエキストラバージンオリーブオイルの消費を回復する必要性でした。オリーブオイル生産国でオリーブオイルの消費が減ることを黙認するわけにはいきません。「公立の病院や学校でも調理油にオリーブオイルではなくひまわり油が使われていることは、理解しがたい問題だ」という声もありました。皆さんはスペイン料理=オリーブオイルと思われていることでしょうが、これが現実なのです。

コングレス終了後にはオリーブオイルのテイスティングも

オリーブオイルテイスティングをリードするADAOVE役員のLolesとJosé Ramón

全体を通してもっとも感じたことは、やはりエキストラバージンオリーブオイルの正しい知識や使い方、健康効果を広めることの必要性でした。私も、そのほんの一端でも担いでいきたいと改めて思いました。

今回はちょっと固い話になってしまいましたが、オリーブオイル業界では頻繁にこのようなテーマの発表や議論があります。その雰囲気を感じていただければ幸いです。それでは、hasta luego!!

   
     
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