eオリーブオイル選び | Buy the Good Olive Oil

地中海に浮かぶリゾート地: マヨルカ島のオリーブオイル事情
【オリーブ世界一の国 スペインから】

Hola‼ スペインのオリーブオイルというと、どうしても世界一の“オリーブどころ”であるハエンやコルドバなどアンダルシア地方の話が多くなってしまうのですが、オリーブはスペインのほぼ全域で栽培されています(17ある自治州のうち15州でオリーブオイルが生産されているのだとか)。今回は、スペインの有名な国際リゾートであるマヨルカ島のオリーブオイル事情をお届けします。【 地中海に浮かぶリゾート地 マヨルカ島のオリーブオイル事情 】

地中海に浮かぶリゾート地 マヨルカ島のオリーブオイル事情

マヨルカの山間部でよく目にするオリーブの段々畑は石垣がしっかりと組んである

スペイン王室も休暇を過ごすマヨルカ島のオリーブ栽培は紀元前から

マヨルカ島は、私の住むスペイン東海岸のバレンシアから海を渡ったところにあるバレアレス諸島の首都がある島です。沖縄本島の約3倍の広さがあり、約90万人が暮らしています。特にドイツ人とイギリス人に人気のビーチリゾートで、スペイン王室ファミリーが夏の休暇を過ごすことでも知られています。

このマヨルカ島で、DOP(保護原産地呼称)Oli de Mallorcaの副会長ジャウメとPR担当のリディアからオリーブにまつわるいろいろな話を聞く機会を得ました。

紀元前からあったマヨルカ島でのオリーブ栽培は16世紀に特に盛んになり、オリーブオイルはそれから300年にわたりマヨルカ島の重要な輸出品だったそうです。フランスのマルセイユ石鹸は、なんとマヨルカのオリーブオイルを使っていたとのこと! 19世紀になると一時栽培は衰退したものの、1980~90年代になると新しい農園も生まれ、生産量も再び増加。遠心分離機を使う現在の搾油技術が導入されるようになってからは品質にも目が向けられるようになり、2002年にはDOP Oli de Mallorca が誕生しました。

地中海に浮かぶリゾート地 マヨルカ島のオリーブオイル事情

右からリディア、ジャウメ副会長と息子さんの奥さん、ルイーズ。Son Mir農園にて

剪定が終わって間もないSon Mirのオリーブ畑

最近の遺伝子研究で「マヨルキーナ」という新たなオリーブ品種を発見!

DOPの認可品種は土着品種の「マヨルキーナ」のほか、「エンペルトレ」「アルベキーナ」そして「ピクアル」の4種類。「エンペルトレ」はアラゴン州、「アルベキーナ」はカタルーニャ州と、スペイン東部で歴史的にもマヨルカと関わりのある地域の品種なので認可されている背景は想像できますが、「ピクアル」もDOPに認可されていることは意外でした。「マヨルキーナ」という品種は、実はまだ公式にスペインの品種として登録されていません。長いこと「エンペルトレ」だと考えられてきたものの、近年遺伝子をよく調べたところ別の品種であることがわかったそうなのです! とても興味深いエピソードですね。

マヨルキーナ種の塩漬けオリーブ

トレーサビリティシールの番号をDOPサイトで照らし合わせれば生産情報が一目瞭然

このDOPの取り組みで特に面白いと思ったのは、トレーサビリティのシールです。DOP認証を持つオリーブオイルのキャップには下の写真のようなシールがついていて、そこに書いてある番号をDOPのサイトに入力すると品種や搾油日、ボトリング日、賞味期限、生産者といった情報が出てくるのです。本気でトレーサビリティに取り組んでいる姿勢が感じられる進んだシステムですね。

地中海に浮かぶリゾート地 マヨルカ島のオリーブオイル事情

トレーサビリティのシールはDOP Oli de Mallorcaの特徴

実業家でもあるジャウメ副会長は、自身が経営する結婚式などを執り行うバンケット会場の敷地内にオリーブ農園Son Mirを所有しています。敷地の門を入ると背の高いヤシの木が両脇にズラリと並び、リゾート感を漂わせています。ここでは16年ほど前に植えたアルベキーナとピクアルが合計約6000本あり、オリーブオイルの生産量は年間3万リットルとのこと。ほとんどが小規模生産者だというマヨルカ島では大きな農園です。

ショパンがジョルジュ・サンドとの逃避行先に選んだバルデモサの山間にある農園へ

リディアは「マヨルキーナのオリーブの木が見たい」という私のリクエストに応えて、山の農園Son Moraguesにも連れて行ってくれました。ショパンがジョルジュ・サンドとの逃避行先に選んだバルデモサの山間に200ヘクタールの敷地を持つ大きなオーガニック農園です。オリーブ畑は30ヘクタールほどで、伸び伸びと点在している8000本のオリーブの木にはマヨルカ島原産マヨルキーナ種の百年樹や千年樹もありました。

古いほど躍動感を感じるオリーブの木

何百年もここで静かに生きている古樹に囲まれ、聞こえるのは鳥の声と風の音、そして放牧されている羊のベルの音。なんとも言えない癒しを感じました。オリーブ好きにとってはまさに楽園のようなところです。ここではオリーブオイルツーリズムにも力を入れているので、マヨルカ島に行かれる際にはぜひ足を延ばすことをオススメします。

地中海に浮かぶリゾート地 マヨルカ島のオリーブオイル事情

心をくすぐられるテイスティングの演出

マヨルカ産のオリーブオイルをぜひ探してみてください

そんなマヨルカ島のオリーブオイルにはいくつかの課題もあるようです。マヨルカのオリーブオイル生産者は小規模農家が多いこと、また島なので容器や梱包用材などの仕入れやオリーブオイルの出荷にも本土に比べて輸送費がかさむことなどもあり、競争力が低いことが難点だそうです。でも今回の訪問では、DOPが島のオリーブオイル生産やPRを盛り立てている様子がよくわかったので、今後マヨルカ産のオリーブオイルの品質や認知度は上がることでしょう。もし日本でマヨルカ産のオリーブオイルを見かけたら、今回のこの話を思い出してくださいね。それでは、hasta luego!!

地中海に浮かぶリゾート地 マヨルカ島のオリーブオイル事情

Son Moraguesの農園内には200匹以上の羊が放牧されている

   
     
戻る