【オリーブ世界一の国 スペインから】
オリーブ畑で遭遇した珍しい農機と収穫スタッフの庶民料理(動画あり)
【オリーブ世界一の国 スペインから】
Hola!! スペインは引き続きオリーブ収穫の真っ最中です。日本では見ることのできないオリーブ畑の風景を日本の皆さんにお届けしたく、今回もまた収穫レポートです。秋になるとオリーブの収穫や搾油の現場に行く機会が増え、今年も畑や搾油所に足を運んでいます。お世話になっているハエン大学教授の引率で、ハエン郊外アルホニージャに行った際に オリーブ畑の珍しい農機 と収穫スタッフの庶民料理 の話をしたいと思います。
畑に置いてあったこの緑色の農機、一体なにをする機械かわかりますか?
ではヒントとして、こちらの動画もご覧ください!(※再生時のボリュームにはご注意ください)
正解は「オリーブ果実のクリーニングをする農機」でした。スペイン語ではlimpiadora de aceitunasといいます。
日本のオリーブ農園ではオリーブ果実は手摘みで丁寧に収穫をしますが、規模が大きいスペインの畑は機械収穫が主流。収穫した果実をいち早く搾油所へ持って行くためには、機械収穫がベストなのです。機械収穫にもいくつかの種類があります。電動熊手や棒を使ったり、大型の農機で木の幹を挟んで揺すったりして地面に敷いたネットや幹のまわりにぐるりと広げたシートに果実を落としていきます。このような方法では、どうしても葉や枝が果実に混ざるのです。下に敷いたネットを引っ張るときに石や土の塊が入ることもあります。
一般的には、枝葉やほこりは搾油所に着いてベルトコンベアーに乗った状態で風を当てて飛ばし、小石や土も除去し、果実だけが粉砕されます。しかし上の緑色の農機は、そのクリーニング作業を畑で完了させてしまうためのものなのです。スペインでもまだ一般的ではありません。
「なぜわざわざ畑でクリーニングを行うの?」という質問に教授は、「混入によって品質を損ねる不純物をなぜ搾油所に持ち込む必要がある?」とひとこと。品質に妥協を許さずできることは何でもする生産者さんの姿勢には頭が下がります。今回は、おいしくて健康に良い高品質のオリーブオイルを私たち消費者に届けるために、こんな重機を使っている生産者さんもいることを皆さんにお伝えしたかったのです。
ところで、この畑に見学に行ったのはちょうど朝食と昼食の間の軽食の時間。一番年長の収穫スタッフの方が畑で火を起こして手際よく何やら作っていました。わ~おいしそう~と見ていたら、私たちにも料理を振舞ってくれたのです。
スペイン内陸部で昔から食べられている、パンをニンニク風味で炒めた庶民料理の「ミガス」。通常はチョリソが入っていたりするのですが、私たちの一行には豚肉を食べられないイスラム教徒もいたので、鹿肉のチョリソを別に焼いてくれました。なんと鹿肉チョリソもこの方の手作りとのこと。そして自家製のオリーブのピクルスにパン。青空のオリーブ畑で食べる素朴な料理は最高でした。(※収穫現場の食事にはいろいろあり、これは一例です。)
軽食をいただいた後は収穫された果実を追いかけて搾油所に行き、オリーブオイルに生まれ変わるところをしっかりと見届けてきました。(※再生時のボリュームにはご注意ください)
ここに漂っていた青いオリーブのいい香りを動画では皆さんにお届けできないことだけが残念です。それではhasta luego!! (田川敬子)