【オリーブ世界一の国 スペインから】
叶えてみませんか?オリーブ農園ツアーで収穫と搾油体験を楽しめる「オレオツーリズム」参加の夢
【オリーブ世界一の国 スペインから】
いつもはHola!!で始まりますが、今回はfeliz año(フェリス・アーニョ)!! 新年おめでとうございます。今年もここオリーブ世界一の国、スペインからオリーブオイルにまつわる話をお届けしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
「オレオツーリズム」もしくは「オリーブオイルツーリズム」という言葉を聞いたことはありますか? 一言でいうとオリーブオイル文化に触れる観光のこと。スペインではオリーブオイルを生産する傍ら、このオレオツーリズムを展開する生産者さんが増えています。今回はその一例をご紹介します。
バレンシア市から南西に100㎞
エキストラバージンオリーブオイルの生産がひと段落した11月~1月かけて、ここではとても魅力的な農園ツアーを実施しています。畑に残した果実を収穫し、旧式のミニ搾油所でオリーブオイルをつくる体験ができるのです。早速、写真で見ていきましょう。
● まずは、畑でのオリーブ果実の収穫。地面にネットを敷き、電動熊手で収穫します。ここのオリーブはアルベキーナ種で超高密植栽培法を採り入れています。
● 収穫した果実に混じっている葉や枝は、昔ながらの用具を使ってふるいにかけます。
● 次は、果実を粉砕してペースト状にします。
● 粉砕したオリーブペーストは練り込み機に入れられ、油分が浮き出てくるまでしばし撹拌します。
● そして圧搾機に投入しオリーブオイルを搾ります。
マットとペーストを順に重ねていき、上から圧をかけて液体分を抽出します。抽出した液体の中の油分は比重が軽いため、水分や澱とは分離するのです。
このツアーではわかりやすく旧式の小さな手動搾油機器を使っていますが、近代的なオートメーション化された搾油所でも、果実を粉砕し、ペーストを練り込み、油分を抽出するというプロセスは同じです。ただ、圧搾機を使う搾油所は消えつつあり、遠心分離機が主流になっています。また、不純物や湿気を取り除くためにフィルターを使用することが多いです。
この旧式機器で、おいしいエキストラバージンオリーブオイルを搾るのはちょっと厳しいのですが、目的はツアー参加者が生産プロセスを理解し、一緒に楽しんでもらうこと。農園が販売するエキストラバージンオリーブオイルは、近代的な設備で衛生的な搾油所でつくられていますのでご安心ください(笑)。
ツアーにはミニ搾油所のある中庭でのアペリティーボ(食事前のアルコールと生ハム、チーズ、腸詰類などのおつまみ)や郷土料理の昼食(たいていパエリアかガスパチョ・マンチェゴという煮込み)も含まれていて、これがとてつもなくおいしいのです。そして、農園にある草花を飾ったテーブルセッティングは素朴な中にエレガントさが漂い、いつも感心させられます。
もちろん、オリーブジャパン受賞歴のあるオリーブオイルをテイスティングすることもできます。
センスの良い調度品が飾られた田舎家風の貸し別荘にはツインが4部屋あり、私も一度家族や友人と泊まったことがありますが、すばらしい経験でした。満点の星空、農園の犬とのすがすがしい朝の散歩、産みたての卵を使った朝ご飯など、ステイホームの今でも時々フッと頭をよぎる忘れられない思い出です。
今回は、日本でStay Home中の皆さんにも自然いっぱいのオリーブ畑や別荘の空気を感じていただきたく写真もたくさんご紹介しました。オレオツーリズムの内容は場所によりさまざまなので、また紹介していきたいと思います。オリーブオイル好きの皆さま、海外渡航が再開しスペインにお越しの際にはぜひオレオツーリズムも取り入れてみてくださいね。
では、2021年が皆さまにとりまして幸多き年となりますよう心よりお祈り申し上げます。Hasta luego!!(田川敬子)