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11月のスペインはオリーブ収穫期真っただ中!!生産量世界一の地のオリーブ収穫方法はダイナミック
【オリーブ世界一の国 スペインから】

スペインのオリーブ農園でよく見るこの赤い逆さ傘はなんでしょう? 答えはこの記事の中に!

Hola!! スペインでは早摘みのプレミアム エキストラバージンオリーブオイルの収穫はそろそろ終わりますが、オリーブの収穫自体は年が明けてもまだまだ続きます。さて、高品質のオリーブオイルに使うスペイン産のオリーブの実。ひとつひとつ収穫しているイメージをお持ちではありませんか? 実のところスペインでは素手(もしくは手袋着用)で果実を一つずつ摘む農園はごく少数なのです。

今回は皆さんの食卓にも届くスペイン産オリーブオイルが、どのように収穫されているのかお話ししたいと思います。まず、スペインで果実を一つずつ摘む農園がほとんど無いのはなぜか? 理由はスペインの圧倒的なオリーブ生産量です。世界のオリーブオイル生産量のおよそ半分を占めるスペインのオリーブ収穫量は膨大なのです。

こちらで小さい農園といわれる畑でも日本のオリーブ農園とは比較にならないぐらい広く、もしひと粒ひと粒収穫するとしたら相当の人手が必要になるでしょう。そして何より、何日もかかってしまい、その間に果実の熟度が進み品質が変化してしまいます。

一般的に、収穫したオリーブ果実はあっという間に鮮度が落ち劣化していきます。おいしいオリーブオイルをつくるのためには、収穫から搾油までの時間を極力短くすることがポイント。短時間に機械を使って収穫し、なるべく早く搾油所に運び搾ることがプレミアム エキストラバージンオリーブオイルには重要なのです。

スペインの代表的品種ピクアル種の果実。摘みたての果実の外果皮にはツヤとハリがある

では実際スペインでは、どのように収穫されているのか具体的に見てみましょう。

⚫まず、とてもポピュラーな方法が木の幹を機械で挟んで果実を揺すり落とす方法です。オリーブの実が雨のようにざぁーっと降ってくるんですよ。地面との直の接触を避け、集めやすいようにネットを敷きます。

幹をつかんで木を揺する機械。早摘みだと果実が落ちづらいので、棒で叩いている

地面に巨大なネットを敷き、果実を巻き取とる収穫スタッフ。大きなネットを巻きとる機械を使うこともある

⚫果実が地面に落ちないように、幹のまわりに逆さまにした大きな傘状のものをぐるっと広げ収穫する機械を使うこともあります。

傘状のシートに収穫する方法だと、果実と地面との接触を避けることができる

⚫大型機械が入れない山中の畑や、幹の太い古樹などに使われるのが「電動熊手」です。電動熊手はかなり重いので、使う人にとっては結構な重労働になります。

千年樹の大木の収穫に電動熊手が活躍

⚫機械を使っても落ちてこない実がある時は、棒で叩いて落とします。これは古来から続く方法ですね。叩き方にはうまい下手があるのだとか。ちなみに、干からびてもしぶとく木についている前年の実が混じってしまうと、品質の欠陥の原因になってしまいます。

⚫稀に素手(もしくは手袋着用)で収穫する場合は、ひと粒ひと粒果実を摘み取るのはなく枝を手前に引っ張り、手でしごくように摘みます。その様子から“乳しぼり”と呼ばれる収穫方法です。オリーブ収穫用の短い熊手を使うこともあります。

数年前に息子も“乳しぼり”の手摘みを初体験!

⚫そして最後に「超高密植栽培法」と呼ばれる、垣根のように木が並んでいる畑では大型の自走式収穫機が木の上を通過しながら果実を収穫していきます。人手も要らずもっとも早く収穫できるのですが、この植栽培法に向いているのはアルベキーナ種やアルボサナ種などごく限られた品種だけになります。

木の上から覆いかぶさって収穫する自走式収穫機

今回はちょっと専門的な話になってしまいましたね。スペインのダイナミックなオリーブ収穫のイメージは伝わりましたでしょうか? でもどんな収穫方法であろうと、おいしいエキストラバージンオリーブオイルになれば問題ありませんね。

オリーブの収穫は季節労働で、農園と労働者をつなぐエージェントも存在します。バレンシア郊外レケーナの知人の農園では、今年はハエンとトレドから計16人の収穫スタッフを呼んだそうで「ここはワインの産地だからブドウ収穫のエキスパートはいても、オリーブは今ひとつ。ハエンとトレドのスタッフはさすがに慣れているだけあって働きがよかった!」と言っていました。オリーブ収穫にもその道のプロがいるのですね。

収穫された果実がどのようにオリーブオイルになるのかは、それはまた別の機会にご紹介しますね。

それでは、hasta luego!!(田川敬子)

収穫されたピクアルの果実には油脂がたっぷり

   
     
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